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サステナビリティ

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TCFD提言に基づく情報開示


ビックカメラ(以下、当社)は、気候変動への対応は重要な経営課題の一つと認識しており、2021年12月24日「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD※)」提言への賛同表明を行いました。気候関連のリスク及び機会に関する「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」について検討と対応を行っています。


※TCFDとは、G20財務大臣及び中央銀行総裁の意向を受け、金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォースです。


ガバナンス

a)気候関連のリスク及び機会についての取締役会による監視体制

当社は、気候変動は事業活動に影響をもたらす重大な課題として認識しており、取締役会において気候関連課題に対する対応の議論と監督を行っています。取締役会では法令及び社内規程に従って気候関連課題への対応を含む重要事項を審議、決定するほか、各部門の担当取締役等から業務執行状況等に関する報告を受け、指揮・監督をしています。
また、当社は、社外取締役を含めた監査等委員会による監査体制が経営監視機能として有効であると判断し、監査等委員会を設置しています。監査等委員会は監査等委員である取締役3名(うち社外取締役2名)で構成され、気候変動への対応を含む、取締役の職務執行の適法性及び妥当性を監査・監督等しています。
2022年5月に、サステナビリティ戦略(リスクと機会)を取締役会と共有するサステナビリティ推進委員会の設置を決定し、2022年6月に第1回サステナビリティ推進委員会、同年10月に第2回サステナビリティ推進委員会を開催し、取締役会へ報告しました。初年度は社会課題の一つであるTCFDへの対応を審議し取締役会へ報告を行い、取締役会はその内容について監督を行っています。




b) 気候関連のリスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割

代表取締役社長は、取締役会の議長としてすべての取締役会に参加し、気候変動への対応を含む経営計画やマテリアリティの策定のほか、気候変動対策業務の執行状況の指揮や監督を行うなど、当社の気候関連課題への対応に関する責任を負っています。
代表取締役社長は、サステナビリティ推進委員会の委員長として、次年度の活動として認識された気候関連課題(リスクと機会)について目標を設定し、進捗管理を行っています。気候関連課題のモニタリング状況および目標の進捗状況は取締役会に報告されます。


気候変動への対応に関連する会議体とその役割
会議体または部門 役割
取締役会 業務執行において承認された気候変動を含む環境課題に関する取組みの進捗を監督する。
・議長:代表取締役社長 ・開催頻度:毎月
本部長会 気候関連課題に対する具体的な取組み施策を含む全社的な経営に係る施策について協議・検討する。
決議事項は取締役会へ報告される。
・議長:代表取締役社長 ・開催頻度:毎月
サステナビリティ推進委員会 ビックカメラのマテリアリティの解決策を検討する3つの分科会において気候関連のリスクと機会について、中長期テーマのKPI・施策立案等を推進する。
審議項目は取締役会へ報告される。
・委員長:代表取締役社長 ・構成員:すべての執行役員
リスク管理委員会 気候関連リスクについて、進捗をモニタリングし、その検討決議事項は取締役会へ報告される。
・委員長:代表取締役副社長 ・開催頻度:四半期
社長室 全社的な気候関連課題について対応する。サステナビリティ推進委員会の事務局を担当する。
グループ内部統制統括部 各部門から報告されるリスクについて管理する(改善策、再発防止策の検討含む)。リスク管理委員会の事務局を担当する。

戦略

a)短期・中期・長期の気候関連のリスク及び機会

当社は、気候変動が当社の事業に及ぼす影響(リスク及び機会)を明らかにするために、以下(1)及び(2)で説明する2つのシナリオをもとに分析、評価を行いました。


気候シナリオ分析の前提条件

対象事業 ビックカメラグループのすべての事業
時間軸 短期:2022年〜2024年、中期:2025年〜2030年、長期:2031年〜
参照したシナリオ IEA2DS(2℃シナリオ)、IPCC RCP8.5(4℃シナリオ)

(1)国際エネルギー機関(IEA)の「Energy Technology Perspective」で示されている、2100年までの世界平均気温の上昇が少なくとも50%の確率で2℃に抑えられるシナリオである「2℃シナリオ(2DS)」を用いて、低炭素社会への移行リスクを分析しました。
本シナリオでは、エネルギー部門のCO2排出量が2060年に現状の70%削減となり、2100年にはカーボンニュートラルになる他、2060年の1次エネルギー消費における化石燃料への依存度は35%に下がります。また、多くの石炭火力発電所が耐用年数を迎える前に閉鎖され、残った石炭火力発電所はCCSを実施する設備となります。本シナリオの予測を元に、当社への影響を分析しました。


(2)気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の「代表濃度経路(Representative Concentration Pathways)シナリオ」のうち、21世紀末の世界平均気温の上昇が最大で4.8℃になる「RCP8.5」を用いて、気候変動による物理的な影響を分析しました。
RCP8.5は、世界が化石燃料依存型のまま気候変動に対する政策や対策が行われず温室効果ガスが大量に排出されるシナリオです。地域や季節により降水量の差が激しくなり、海水面は最大0.82m上昇します。また、極端な高温や大雨、干ばつなどが起こる可能性が高まります。本シナリオの予測を元に、当社への影響を分析しました。


気候シナリオ分析の結果

リスク・機会の種類 分野等 リスク・機会の内容 2℃シナリオ 4℃シナリオ
時間軸 事業/財務への影響 時間軸 事業/財務への影響
移行リスク 政策・
法規制
・炭素税や排出量取引制度の導入・強化によるコストの増加
・家電製品に対して省エネルギー基準の強化による商品価格の上昇
中期 長期
技術 低CO2排出製品への転換遅れによる売上減少 中期 長期
市場 低炭素を求める消費者意識や行動の変化に対応できないことによる売上低下 長期 長期
評判 サステナビリティ経営を怠たることによる企業ブランド価値の低下 長期 長期
物理的リスク 急性 大型台風など異常気象の増加による店舗の被害や休業 短期 短期
慢性 平均気温の上昇により、店舗、物流拠点、子会社の工場等の冷房コストの増加 短期 短期
機会 製品・
サービス
電力消費量が少ない家電製品に対する消費者ニーズの高まりによる売上増加 短期 中期
運用 CO2削減のために空調設備の運用改善や照明器具の高効率化による収益改善 中期 長期

分析の結果、炭素税や排出量取引制度などが導入され、温室効果ガスの排出に対するコストが増加するほか、排出量報告義務の強化や家電製品に対する省エネ基準の強化や消費者の気候変動意識の向上と購買行動の変化等の影響が生じることが明らかになりました。
また、大型台風や集中豪雨など極端な気象事象が増加し、店舗や物流網の被害が増え、猛暑や平均気温の上昇等、当社の店舗運営と商品販売に影響を及ぼすことが明らかになりました。


b)気候関連のリスク及び機会が組織のビジネス・戦略・財務計画に及ぼす影響

当社は、将来の温室効果ガス排出規制の強化に備え、温室効果ガスの排出削減を行うため、店舗で使用する空調機器を省エネ性能の高い空調機器に更新したり、店舗内の照明を蛍光灯から省エネ性能の高いLED照明へ切り替えたり、省エネルールの徹底をすることにより、エネルギー使用量の削減を進めています。温室効果ガス排出削減のために、有楽町店では2016年から約1億4,000万円をかけて、店舗で使用する空調機器を省エネ性能の高い空調機器に更新しました。また、2015年から約6,200万円をかけて、店舗内の照明を蛍光灯から省エネ性能の高いLED照明へ切り替えました。さらに、エレベーターのインバーター化やヒートポンプチラーの導入をするとともに、省エネルールの徹底をすることにより、エネルギー使用量の削減に貢献しました。


c)気候シナリオに基づく検討を踏まえた戦略のレジリエンス

当社は、気候シナリオ分析を実施することで、気候変動が当社の事業に影響を及ぼすリスクと機会を明らかにしました。これにより、マイナスの影響を回避または低減し、プラスの影響を最大化するために、今後更なる分析を行い、戦略のレジリエンスを高めていく予定です。


リスク管理

a)気候関連リスクを識別・評価するプロセス

当社の気候関連リスクについては、社長室よりグループ内部統制統括部と協議検討し、リスクの洗い出し、リスクの重要度判定を行います。
気候関連リスクを識別する際に、当社のマテリアリティ(重要経営課題)との関係についても明確に示した上で、リスクへの対応について検討します。具体的には、サステナビリティ推進委員会の直下に3つのマテリアリティと関連付く3つの分科会を置き、各分科会で相対的重要度についてグループ内部統制統括部と協議の上で決定します。


気候関連課題(リスクと機会)については、低炭素社会への移行リスク、物理リスクの2つについて整理しました。識別された気候関連リスクの潜在的な大きさについて、スコープ毎で評価しています。


b)気候関連リスクを管理するプロセス

リスク評価の重要度判定については、社長室よりグループ内部統制統括部と協議検討するだけでなく、バリューチェーンの責任者(専門家)の意見も聞き、協議の上、決定しています。
識別された各リスクにおいて、リスク回避(コントロール)策として、緩和、移動、受容等について検討します。


気候関連リスクの管理プロセス 担当(会議体・部門)
リスクの識別・評価 サステナビリティ推進委員会
全社的なリスク管理への統合 サステナビリティ推進委員会/リスク管理委員会
リスク管理の実態 リスク管理委員会/グループ内部統制統括部
モニタリング・監督 リスク管理委員会/グループ内部統制統括部

c)気候関連リスク管理と全社的リスク管理の統合状況

識別・評価された気候関連リスクは、全社的なリスク管理の観点からグループ内部統制統括部で協議を行い取締役会に報告するなど、既存の全社的なリスク管理に統合し運用していく予定です。


指標と目標

a)気候関連リスク及び機会の評価に用いる指標

指標、目標値は、現在検討中です。それぞれのリスク及び機会への具体的な対応策を決定した後に設定する予定です。


b)これまでの温室効果ガス排出量(Scope1、Scope2、Scope3)

温室効果ガス排出量(当社実績値)

スコープ カテゴリー 排出量(2020年度) 排出量(2021年度)
Scope1 5,256 t-CO2 5,258 t-CO2
Scope2 81,201 t-CO2 86,520 t-CO2
Scope3 ※ 2,465,027 t-CO2 2,413,146 t-CO2

※Scope3 の算定対象範囲(カテゴリ1,2,3,4,6,7,11,12)

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